ロールスロイスのエンジンは、1910代に世界一の座を獲得し、第一次世界大戦では、空を圧巻しました。今でもジェット機のエンジンに使用され、その安定性と耐久性は一世紀に渡り、世界一の座を保っています。
ロールスロイスの機関系を心配する日本人は多いが、それを:
アメリカで言ったら「笑われる」
ヨーロッパで言ったら「バカにされる」
英国で言ったら「怒られる」
そうです(シーザートレーディング宮本社長談)
FHロイスさんの理念は、「100年160万キロ走る車を作る」ことですから。
初めて、コーニシュを購入したとき、宮本社長からご教示受けた「コーニシュの乗り方」を参考に、30年間トラブル無しで乗り続けた筆者が考えた標語は、
「15の5、2W、4S」です。
①15とは、ドアを閉める時、15㎝手前で一度止め、それから引く(女性をエスコートするときは、外から両手で押し)閉める。という事で、これはコーニッシュのドアはアルミ製ですが大きいために重く、その割には内側のロッドが華奢なので、日本車やメルセデスのようにドーンと閉めると、1発でドアが沈下してしまいます。あるディーラーの試乗会に行って、うっかり車の移動を任せ、この体験をしたことがあります。
他人の家の玄関ドアを閉める時、大きな音をたてて閉める日本人はいないのと同様、車のドアをバーンと閉める英国紳士はいません。
②5とは、キーを差し込み、エンジンをスタートさせるまで、5秒待つという事です。これは、燃料ポンプがガソリンを送るのに3秒かかるのと、コンピューターの立ち上がりにかかる時間です。
③2Wの最初のWは、ウォームアップのWです。エンジンがかかって、インフォメーションパネルのランプが、サイドブレーキのP以外のランプが消えるのを待つという事です。この間に、油圧のリアサスペンションの圧をためます。夏場で1分弱、冬場で3分ほどですが、私は水温計の針が動き出すまで待ちます。
③2Wのもう一つのWは、ウインドウを一つずつ動かすという事です。ウインドウを動かすのはモーターですけど、4つのウインドウを同時に動かすと、それぞれのモーターに行く電圧が下がり、負担が増します。これがモーターの寿命を縮める結果となります。
④4Sの最初のSは、シフトレバーです。コラムについているシフトレバーは、電気接点で認識して変速機に伝える構造となっていますが、PからR、N、を通り越してDに入れる時、1クリック毎に、トン、トン、トンと丁寧に動かすという事です。一挙にトトトンと動かすと、電気的にはRで認識したまま、レバーはDに入っている事になります。
会社で使うパークワードリムジンの運転手に、車好き(ヤンキータイプ)の運転手を採用したことがあります。彼は結局4回車をぶつけました。彼の言い訳は決まって「ドライブに入れてるのに、バックしたんです」
⑤二番目のSは、スピードコントロールです。ロールスロイスに急発進、急加速は厳禁です。また、似合いません。軽に割り込まれても、平然としていなければなりません。
やはり、若い職員で、いつもはクラウンに乗っていて、運転に自信を持っていた職員から、あるとき電話がありました。
「エンジンが回っているのに、車が動きません」
見事にドライブシャフトが、折れていました。2l、2tのクラウンも、6.7l、3tのロールスロイスもシャフトの太さは変わりません。2lで瞬時に6000回転に上がるクラウンと同じつもりで、6.7lで4500回転まで、強大なトルクを持つロールスロイスのアクセルを操作すると、ドライブシャフトに大きなねじりの力がかかります。これにより金属疲労が早く進み、こういう結果となります。
⑥3番目のSは、ステアリングです。ロールスのハンドルは、アメ車同様軽く片手で操作出来ます。しかし、据え切りは厳禁、カクンとなるまでいっぱいまで切るのも避けた方がいいです。これは、パワステポンプやその他の機構に負担をかけるからです。
⑦最後のSは、サイドブレーキです。これは、足踏み式のサイドブレーキペダルを、まっすぐに丁寧に踏むという事です。このペダルの造りが意外に華奢なので、斜めに強大な力で踏むと曲がる恐れがあります。
ロールスロイスに乗るには、このような決まり事が多くあります。
しかし、上記はロールスロイスに限らず、全ての車を長持ちさせるコツ、とも思われます。